2 作品の大きさ
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通常はやはり大きな作品が小さな作品より高くなります。ヨーロッパの基本サイズは近代では15号 ( 65 x 54 cm)であります。日本では良く「1号いくら」と言いますがフランスでは15号のサイ ズの価格を標準にしている場合が多く見受けられます。ちなみに10号の作品は1号の価格 x 10倍ではありません。
注:<<各国で若干サイズは異なります、またサイズは通常(縦)x(横)で記すのが習慣であります>>
3 署名の有無
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作家の死後アトリエに残された作品の中には署名がなされていないことも多くそれらの作品には法的に登録されたスタンプが押されることがあります。作品の表に署名のように押される場合(シャガール、ルノアール、他)、作品の裏側に押される場合(モネに見られることがあります)。これらの署名は通常の署名と区別するためにアトリエサインと呼ばれています。そして、このアトリエサインの作品は価格が若干低く評価されることもあります。しかし、ゴッホのように署名がほとんどされていない作品、または作家が家族を描いた作品で作家のもとに所蔵していた作品などにも署名がされていない場合が見受けられますが署名の有無はこれらの作品の評価金額には影響を及ぼしていません。
4 市場に存在する作品の数
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美術作品の価格も当然のことながら需要と供給の関係に基ずきます。藤田嗣治と親交の深かったモジリアニの作品はその典型であります。製作点数が400点にも満たないモジリアニの作品は毎年平均6〜8点しかオークションに出品されません。さらに人気の高いモジリアニの作品は毎年どこかの美術館に収蔵されてしまいます。世界にはどれほど多くの美術館があるのかを想像してみて下さい。1986年のモジリアニ平均落札価格は約250万米国ドルでしたが、2004年では930万米国ドルで、年間落札合計の比較ではそれぞれ約770万米国ドル及び4,650万米国ドルでした。
他方、ブラマンクのように毎年70〜90点の油彩作品がオークションに出品される多作の作家ではことなる状況があります。ではなぜ、毎年50〜90点の油彩作品がオークションに出品されるピカソの落札金額は異常なまでに上昇するのでしょうか?
5 作品の保存状態
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印象派の作品も多くの作品が100年をすぎようとしています。もともとカンバスに描かれた油彩作品はかなり丈夫なものです。水につけて処理をすると油彩部分をカンバスから取り外すこともできるぐらいです。ですが、古くなった麻カンバスも”突き刺す”ようなダメージにはすごく弱いものです。過去に展覧会に出品されていた藤田嗣治の大作の一つ「優美神」は観客の一人が傘先で突き刺し穴を開けてしまいました。私はこの作品の修復の後を見る機会がありましたが1947年の作品で、120号あるしっかりとしたカンバスでありましたが無惨にも裏からは傘のお先程度の部分に修復がなされていました。
このようなひどい取り扱いを受けることはめったにないでしょうが、油彩作品も長い年月の間に絵の具がよごれ、剥離、変色、ひび割れ、収縮、カビ、その他の損傷を受けるため過去に何度か作品の洗浄、修復が施されているでしょう。さらにカンバスの状態によっては新しいカンバスを裏から”蝋”などを使い貼付ける補強が施されます。これは”裏打ち”と呼ばれています。これらの保存状態は作品価格に大きく影響します。
6 作品の来歴
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作品の来歴もまた作品の評価金額に影響いたします。最も簡単に知る方法ではカンバスの裏、木枠、額縁の裏側等に張られたシールがあります。展覧会に貸し出された時に展示された美術館のシール、その時点に作品の運送を請け負った美術運送会社のシール、通関時に押された通関のスタンプ、さらにオークション会社のシールなどが見られる場合があります。もちろん作品に関する文献、資料を調べることも必要であります。最近の国内市場ではこれらシールのニセ物が張られていたこともありますので注意が必要です。
作品の表だけではなく裏側からも多くのことを知ることができるのです。
7 カタログレゾネ
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一言で言えば「絵画全集」でありますが、普通の全集とは異なり可能な限りの作品の写真及び内容を収録した絵画全集をフランス語でカタログレゾネと言います(簡単にレゾネと言われることが多い)。最も有名なものにピカソの作品を収録した「ゼルボス」と言うカタログレゾネがあり全部で34巻から成り立っています。同じ作家の作品でもレゾネに記載されている物の方がより説得力があります。オークションに出品される点数ではピカソにもひけをとらないヴラマンクのカタログレゾネはまだ完成されていません。
作品がカタログレゾネに収録されているか否やも市場価格に影響を及ぼす一因であると言えます。
8 額縁は新しくピカピカの物が良いのでしょうか?
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有名作家の有名作品は私達よりも100年以上に渡って世界中を旅しています。中にはヒットラーに略奪され、山の中に隠されて最近やっともとの所有者にもどった作品もあります。当然額縁が痛んでしまったものもありますが古いオリジナルの額縁は作品の来歴を物語る大事な作品の一部ですから作品同様に保存することが大事であります。
ーその他の要因
9 絵画投資は成り立つのでしょうか?
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有名作品の多くの作品は特別な例外をのぞき”作者のアトリエ”を出てから価格は上昇の一途をたどっています。他方、金の国際相場は1980年のピークを最後に250〜500米国ドル/1オンスを3〜5年の周期で上下しています。
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